高雄から九份へ向かう直通の移動手段はありませんから、一度高雄から台北へ。そして台北から九份へ然るべき交通手段で移動するわけです。
まずは高雄から台北へ戻りましょう。
今回はなんだか目が冴えて眠れなかったということもあり、夜中の2時AMに宿を飛び出しお馴染みみんな大好き國光客運の夜行バスで向かうことにしました。
高雄から台北への夜行バスについてはこちらにまとめてありますのでご参考ください。
途中途中でお客さんを拾いながら、7:00AM頃台北に到着。結局一睡もできませんでした。
台北から高雄に向かったときと同じバスターミナルで降ろされます。
ブツブツ言いながら地下街の案内地図を見ていたら、おばちゃんが何やらの言葉を僕に浴びせかけながら近づいてきました。
多分、どこに行きたいの誰と行くのわたしも混ぜなさいよと親切で尋ねてきてくれていたのだと思いますが、別に僕は迷っているわけでもなく、丁寧に地図を追っていけば自力で解決できる状況だったのですが、
こういった現地の人との交流も大切にしようと、あえて右も左も分からない頭の悪い使用人として出稼ぎにやって来た日本人を装うことにします。
羊「私たちは、どこにいますか」
しかしながら僕のガバガバな中国語を聞くと、おばちゃんは「めんどくせえやつに話しかけちまった」みたいな顔になって、あたりをキョロキョロし、
英語のできる若者を引っ張り込み、僕のことを押し付けてどこかへ歩いていってしまいました。
英語のできる台湾の若者に、形だけの案内を受け、そして形だけのお礼を言って台北の駅に到着です。
ここから鉄道に乗って、瑞芳という駅まで向かうのですが、ほんとはですね、ぼく鉄道に乗る前にちょっと休憩を入れるつもりだったんですよ。
それでも休憩する前に時刻表くらいは先に確認しとこうと台北駅に行って、試しに話しかけたら英語喋れる駅員さんだったので、瑞芳駅に行きたい旨を伝えたんです。
そしたらなんだか券売機まで一緒に着いてきてくれて、切符買わされ、改札連れて行かれ、いや実はその前に小休止を、、、なんて言い出せずあれよあれよと一息入れる間もなく鉄道に乗り込むことになってしまったわけなのです。
台北から瑞芳まで、76元。280円ほど。
列車が到着。
電車のホームの間に隙間あいてなきゃいいなあなんてドキドキしながら扉が開くのを待ちます。
結果隙間ガバガバ。
かつて無いほどに開いた列車のホームの空間と、さらに30kgの大荷物を抱えた僕をやっつけに来てると思われる20cmほどの段差に阻まれて、なんかもうこれ九份とか行きたくないなあ。
こんなん。
( せ、せーの、 )
ヘルニアを再発させながら、30kgの荷物を持ち上げ電車に乗り込みます。
満員電車だったらどうしようなんてことも心配しておりましたが、車内に余裕があってよかったです。
少し取り乱してしまいましたが、どれだけ隙間があろうと、どれだけ段差があろうと、乗ってしまえばもうこっちのもんで、ガタンゴトンオジンオバンと普通電車に揺られ50分ほどで瑞芳駅に到着します。
( ビヤハハハハハ )
台北と九份って、思っていたよりも意外と近いんですね。
日本で言へば、都内から高尾山に行く感じですかな。
さてここからどうすんのかと思うのかもしれませんけれどもねみなさん。むしろここからがサンダーストームの真骨頂。
バスに乗れねえタクシーにも乗りたくねえとなれば、やることはひとつ。ただ己の両の足を頼りに歩くのみです。
5kmもあんな山道をしかも大荷物を引きずって歩いたんだなあと、今ゴーグルマップ貼り付けながら自分を褒め称えております。
1時間と20分って気楽に言ってくれてますけれども、これ僕の30kgプラスアルファという荷物を考慮してないような気がします。まだまだ詰めが甘いなあゴーグルさんも。
気の利いた旅人でしたならば、ここでヒッチコックのひとつでもするのでしょうけれども、
心を捨て己を捨て、憤怒の明王の如く振る舞い、悪鬼羅刹の人生を選択したつもりでいたけれど、
結局和尚さまにお前は人間なんだよと諭された、後に最強と呼ばれる剣士のように、残念ながら僕の体もそういうふうにはできていなかったのです。
そうは言っても最寄りの瑞芳駅からバスで15分というお話なので、まあ歩きでもなんとかなるでしょう。
なーんて思ってましたね。この時は。
瑞芳駅前のおまんじゅう屋さんであんまんを指差して買って食べます。ホカホカ。
なんか、日本で食べるアレとは違って、砂糖をあんまり使っていないようで、ナチュラルな甘さのあんまんでした。
みなさんはハイオクとかレビュラーで九份の山を登るのでしょうけれども、サンダーストームは違います。あんまんで登るのです。
今日の燃料はあんまん!
[TODO:ここに肉まんの画像を貼る]
いざ九份!
天気は雨。状況はよろしくありません。
しかしながら、後々なにかしら旅の肥やしになるでしょうから、可能な限り最悪な目にもすすんでお見舞いされておこうと、僕はこの機会をそれほどネガティブなことだとは捉えておりませんでしたよ。
この時までは。
30kgのメインバックを雨で濡れないようブルーシートでぐるぐる巻きにして、
背中にサブバック前に街歩きバックでサンドウィッチされた自分自身もデルタフォース時代のポンチョをスッポリとかぶり、念のために傘もさし、ダイナマイト・完全・防水装備で登坂開始です。
流石に駅前ではその大仰な様子をジロジロ見られましたけれども、こちらはそんなファッション性とか言っていられる場合じゃありませんから。
登坂開始15分。さっそく九份の意地悪がコツンコツンとやってきます。歩道がどんどんと削られていくパターン。
これ32km歩かされた鹿児島と同じパターンですね。
鹿児島での過去の栄光を思い出し、ニヤニヤしながら道路の端っこをテレテレ歩く僕。その脇を、上級市民たちの乗るバスがビュンビュンと追い越してゆきます。
路線バスには大きな荷物乗せれれないってけど、バックパッカー達はどうやって九份に行ってるかなあ。
とうとう車道と歩道が分離。
そして現れた地獄の階段。
うわぁこの国の人達は九份行きの道路の作り方も知らないのかあ?
一応階段の両サイドにスロープもあるんですが、ツルツル滑るんですよ。
左サイドのスロープの上を転がるように荷物を引っ張りながら、自分は階段をえっちらおっちら上がっていきます。
説明がむつかしいのですが、階段に立ちながら普通に引っ張ると、荷物がスロープから階段の方に脱線してきてしまうので、スロープからはずれてこっちに来ないようにしてやらなければなりません。そしてその態勢だとちからが入り難いくて辛いんです。
わかりやすく日本語で説明しますと、ひとり暮らしで犬飼い始めたんだけど、仕事に行くからついてきちゃダメって言ってるのに、着いてきちゃうワンちゃんみたいな感じ。
最終的に、左手で荷物を引っ張って、右手を交差気味にして左サイドの壁に置き、体を支えながら階段を上がりました。
がんばりましたー
残りのライフは30。地獄の階段超えで、汗だくになりながら再び大通りに合流します。
( 合流するならば、なぜ一度分離させたんだい? )
30kgでもコロコロで転がせばなんとかなるだろうと思っておりましたが、それが山となるとまた勝手が随分と変わってきますね。
もう登るのがしんどくって、まだ到着もしてないってのにこれはもうさっそく九份篇、最大の山場を迎えておりますよみなさん。
( 山なだけに )
鼻先からポタポタ垂れるほどに汗をかきながら、ひたすら登ります。この汗は後にジャリジャリ塩のカタマリになってました。
せめてお天気が良ければ、この旅路もちったあマシだったのでしょうけれども。
灰色だもん。
しまいには犬たちに吠えられる始末。
犬「ワンワン!ワンワン!」
羊「ワンワンワン!ワン!」
犬「」
羊「」
羊「ワンワン!(九份で!)ワンワン!(おいしいお店知りませんか!)」
犬「ワンワンワン!(マクド!)ワンワン!(ケンタッキー!)」
吠えとけ吠えとけ。どうせ君たちはそのフェンスの向こう側から吠えるくらいしかできないのであろうから。
そして僕にできることと言へば、フェンスのこちら側から吠えることくらいだ。
犬と無駄に対峙してたらタクシーが止まって、乗ってけよみたいに運転手さん言ってくれましたけど、
( 君は下りだろ? )
登っても登っても終わらない坂道。
止まらない汗。
肩に食い込むリュック。
ハイスクールのマラソン大会以来の激しい息切れ。
そして山の急カーブを大回りして転回するバスに「オラオラオラもたもた歩いてんじゃねーよ」なんてクラクションをならされ、もうね、もう家に返してくれー。
( 二度と軽はずみに、九份登ろうなんて言いません )
みなさま、九份にはバスかタクシーでいきましょう。
とっつぁんに追われ森の中を突き抜けたルパン三世の黄色い車のように、空中分解寸前になりながら本日のお宿、MyStoryInnJiuFengに無事到着です。
( 助かった、助かった、 )
到着したのは12:30PMくらいだったのですが、僕の瀕死な状態を察したのかそれとも元々そんなホスピタリティなのか、もうすぐベッドの準備できるから13:00くらいにはチェックインできるよとのこと。
融通の利かないカラオケボックスのおばちゃん店員と違って、こういう臨機応変さはありがたいなあ。
荷物を置いて、一息ついたら九份の町に出ます。
なんかもう雲の中ですわ。
1時間ほど歩いて気付いたんですけど、そこで僕はたしなみ方のよくわからない塩バター風味のひまわりの種を口の中でぐるぐる回しながら思うのですけれど、九份全部回っちゃったような気がします。
羊一くん3泊4日楽しい九份ツアー。前乗りのつもりの初日。到着後、チェックイン待ちの2時間以内に九份を完了です!
「2時間あれば充分だよ」
アメデオ、君はそれなりに正しかったです。
明日からどうしよう!
AというよりむしろB!
明日からというよりむしろ今夜どうしよう!
以上、台北から九份へ。サンダーストームは三度歩いて山を登る!でした。
次回、台湾の九份で、晴天率33%に賭けてみよう!です。
お楽しみに。
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