おはようございます。
僕は今、文化的で洗練された世界見聞のため、台湾は九份に来ております。
そうです、宮崎駿さん主演、「千と千尋の神隠し」のモデルになったのでは?と噂になって、公式に否定されたあの有名な場所です。
あらすじをちょっとだけご紹介しますと、
腕利きの元殺し屋・千にボディガードされることになった世界的歌姫・千尋。
「死にたくなければ、俺の言うとおりにしろ」
千の高圧的な物言いとぞんざいな扱いに反発していた千尋でしたが、
訪れる窮地から何度も命を救われるうち、徐々に心を開いていきます。
そんな心を通わせ始めた二人でしたが、なんとも最悪のタイミングで、最大のピンチが訪れるのでした。
とそんなお話です。
洋題は「Spirited Away」というタイトルになっていて、「神隠しぃ」なんて言っても欧米バックパッカーと最初のうちは話が噛み合いませんでした。
3泊4日の九份ツアーを組んだわたしでしたが、連日連夜雨雨雨。
横から持ってきてなんとかバーコードでしのいでいたけれどそれも思い切ってバッサリいったおやっさんのように、まるでいいとこなしの3タテを喰らい、本日悲しい顔で山を下って台北に戻ります。
泊まっている宿はMyStoryInnJiufeng。
隣のベッドの台湾人がスマートフォン片手に話しかけてきました。
なんでも、バイクで台湾を一周しているんだそうな。
僕は翻訳アプリを使って自分の言いたいことを伝えるのですが、どういった事情なのか彼は翻訳アプリとかを使わず、
LINEのようなメッセージアプリで日本語のわかる友達に中国語を送り、翻訳してもらって、その友達が返してきた日本語を僕に見せてウシャシャシャ笑うという、
なんとも効率というものが欠如している方法でコミュニケーションを取っております。
羊「。。。」 翻訳アプリを見せる
彼「。。。」 友達にメッセージを送る
羊「。。。」
彼「。。。」
羊「。。。」
彼「。。。」
彼がメッセージアプリを僕に見せる
羊「あーね」
羊「。。。」 翻訳アプリを見せる
彼「ウシャシャシャ」
ゲストハウスとかに来る旅人というのはそれなりに英語を扱えるものだと思いこんでおりましたが、意外とそうでない場合もあるようです。
言葉が通じないというのは、本当にもどかしいです。
地球人はその言語を統一すべきであると考えます。
( がんばれエスペラント )
さーてそろそろ下山の準備をしましょうかねえ。雨だったらまたブルーでぐるぐる巻きにして、それからデルタフォース時代のポンチョをかぶって、、
なんてベッドからのそのそと起き出したところでハンバーグみたいに目が飛び出ます。
空が青いです。
灰色しか知らないこの街の空が、青いのです。
「台湾で一番よかったとこはどこですか」とかじゃねえんだって。
隣の君もウシャシャシャとかじゃないんだって。
ちなみに、彼のオススメは澎湖島という台湾の西にある離島だそうです。
時刻は10:30AM。
大慌てで共有スペースに行くと、マスターがぼけーっと突っ立っておりました。
羊「それは晴れです今日!」
マ「ようやく」
羊「ついに」
マ「最終的に」
羊「わたしは荷物を残すことはできますか」
マ「もちろんです」
羊「九份でよい眺めの場所を教えてください」
マ「眺め?」
羊「壮大な景色、感心」
マ「黄金瀑布」
パンフレットの地図で場所を教えてもらい、ゴマ餅を2つ3つ口に放り込んで準備を開始します。
晴れたー 晴れたよー(テラスからの眺め)
この宿には、(晴れれば)こんな素敵なテラスもあるんですよ。
まずはメインストリートを横切り、九份の裏山に登ります。
犬も気持ちよさそうで。
猫も気持ちよさそうだ。
ネズミも気持ちよさそうに寝ておりますよー。
いいねいいね。
僕この後あの山登りますから。
やっぱり僕は山の人なのかもしんない。
俺このあとあの山登るんすよw
山登ってたら墓地に迷い込んでしまいました。
やはり地理的に近いからなのか、文化の起源が同じだからなのか、なんとなく、沖縄のお墓に似てるなーと思いました。
俺この後あの山登んすよw
天気もいいので少し歩くと暑くなってきます。
ヒートテックを脱ぎ、山登り仕様に着替えました。
そしていざ、基隆山展望台にアタック開始です。
九份の町並み。夜に来たらまた味のある夜景なんでしょうなあ。
画像左側はさっきまでいた墓地エリアです。
途中蛇とトカゲがケンカしてました。
第一チェックポイント通過。
第二チェックポイント通過。。。
撮れてないやんけ
ハァハァ、、、
流石に、こんだけ階段登らされると、キツイですな。
( この階段は、何段か )
帰りに何段あるか数えてみようと思います。
頂上に到着しましたー
海も見えます。
海の方から雲がフワフワっとうわー。
残念ながら、この青空は長く続かないようです。
山の天気というのはほんとに変わりやすいんだなあ。
もう少し頂上で浸りたかったですけど、先を急ぎます。
来た道戻って、階段が何段あるか数えようと思ったのですが、
( なんか道あるやん )
( 行ったろ )
来た道戻るでなく、ただひたすら前に進むことにしました。
「選ぶ」の連続が人生になるなんて、ちょっと考えものなのかもしれないなんて常々思うところではございますが、
この「選ぶ」が後に、ダイナマイト・完全・誤った決断となるわけなんですけれどもね。
ロープが出てきたぞ。
おや、土砂崩れだぞ。
なんか、右手にペットボトル左手に可愛いイラストの書かれた九份のパンフレットを持って両手の塞がった日本人観光客が足を踏み入れていい場所ではないような感じになってきました。
しかしながら僕は、画像左側、黄緑色の山頂に、遭難者を発見してしまうわけです。
みなさまわかりましたですかね。
かくだい!
( これはいけなーい )
ただちに救助に向かいます。
SOSの青い糸です。
これはデルタフォースの実地訓練で習います。彼らもデルタフォース出身のようです。
白いテープもSOSです。
( イタイイタイタイ! )
今半分くらいですかね。
SO、、そんなに背負って降りれるかなーあ
現役時代は3人ほどかついで降りたもんですけれども。
やっと追いつきました。
あのー、すみません、大丈夫ですか?大丈夫だったら、あのー、ちょっとこっち助けてもらえないっすかね。
山の遭難者に追いついてみれば、山登りに来ていた中国人のご夫婦でした。あれ、台湾人だっけ?
僕のクロックスを指差して、旦那さん苦笑い。
( そりやまあ、そうでしょうなあ )
みなさま、山登りの際は事前に調べてから行きましょう。
羊「わたしは行きます。ここ」
英語なんて通じませんので、ガバガバな中国語とピンを立てといたMapsMeを見せて行き先を伝えます。
そこは三叉路で、下に降れば黄金瀑布、上に登れば基隆山の東峰だそうです。
そこで、僕は、日本人の屈強さを見せたかったんでしょうね。
そのまま下に降って黄金瀑布行けばよかったのに、僕まだ余裕ですからみたいな顔で、再見なんつってあろうことか上に登り始めるわし。
( ハァハァ、、、 )
実際は65°とかなんでしょうけど、もはや体感的には直角としか思えない斜面にへばりつきながら登ります。
この坂を登りきれば、、、
( ビヤハハハハハ )
基隆山東の峰アタック成功です。
なんかMapsMeとは違う名前がついてるみたいですけど。
いつの間にやら日本対台湾意地の張り合いが始まっていたのか、僕のあとを追って夫婦もこの一年を通して風の止まない風の谷に、僕を追っかけてやって来ました。
言葉は交わしませでしたが、ひと時この黄昏刻を分かち合います。
あの海に流れ込んでいる黄色は何かなあ。
山間の町並み。
もっと風の谷の余韻に浸りたいところなんですが、時間も限られておりますわたしは、先を急ぐことにします。
お二人さん、いつまでも仲良くね。
さあ残り三分の一ほどの行程を進みます。
そして山は牙を向いて襲い掛かってくるのです。
どうもこの急激な斜面というものを、写真では表現しきれませんな。
垂直に垂れ直がってるロープ。
( なにこれ )
降りました。
垂直に垂れ直がってるロープ!
( ハァハァ、、、なんでしょうねこれは )
降りました、、
こういうことじゃないんですよ僕が言ってる山登りってのは。
こんな、栄養ドリンクのCMみたいなやつじゃなかったんですよ僕が言ってたのって。
( ぐぁっ )
どうもロープ伝って降下する感覚を忘れてしまったようで、何度も尻を打ち付けられる僕。もうハーフパンツも靴下もドロドロだあ。
( ぐぉっ )
ぬかるみで滑ってクロックスがスポって抜けそうになり、ヒヤッとします。
今この状況でクロックスが山の裾野まで転げ落ちてしまったらなんて考えただけでもそら恐ろしいです。
クロックスのバンドを踵にグルッと回して歩きます。
したらその激しい行軍に耐えきれなくなり、クロックス右足のバンドの片側がバチーンと外れてしまいました。
( これはいけなーい )
右足のクロックス・バンドをプラプラさせながら、ロープをつたり、ぬかるみに足を取られ、岩にへばりつき、手の皮は剥け、ちょっとだけ、、、なんつって時に崖の下を覗き込んでみれば高所恐怖症のわたしはタマひゅんで、もうね、もう家に帰してくれー。
( もう二度と軽はずみに、基隆山登ろうなんて言いません )
そんなこんなで無事麓に到着。
したはずなんですがなぜかそこは民家の庭先で、明らかに無傷では通してくれそうにない唸り声をあげているワンちゃんに、最後の最後で通せんぼです。
( かーんべんしてよーw )
でかい蜘蛛がいないことを祈りながら、草っぱらをぅわぁああああと突っ切って、
無事、基隆山正真正銘アタック完了でございます。
( 薫殿のもとに帰るでござる )
ちょっと歩けば黄金瀑布もそこにあったんですけど、もう、ちょっといいです。
この車道を行こうと思ったんですけど、なんかグネグネ遠回りしてるし、
こっちの方がまっすぐじゃねーかと思ったのでこっちの歩道と思われる方から行ってみようと思います。
こっちはこっちで階段だったりするんですけれどもね。あの山下りのあとだったのでキツかったです。
橋もそれなりに恐る恐る渡りますし。
平坦な遠回りをするのか。茨の近道をするのか。
やはり人生は、選ぶの連続でできている。
最後の力を振り絞り、長い長い最後の階段を、一段一段上がっていきます。
わたしは台湾で、そのすべてを手に入れるのです。
ほんとはもっと色々周りたかったですが、基隆山で時間を使いすぎた僕はタイムアップです。
お弁当のミネラルウォーターとミロでゴール。切れった。
思ったよりもお天気は崩れなかったですね。
マスターに、ベストシーズンにまた来るよと約束をして宿を出ます。台北へ帰るんだ。
往路にて、地獄の登坂真っ最中は「帰りは絶対タクシー乗らしてもらうよ」なんて繰り返しておりましたが、
ここ九份で台湾のすべてを手に入れたわたしは、出会った軌跡がこの胸に溢れ、今なら自由に空すらも飛べそうな気がして、歩いて下ることにします。
流石にマスターもやめとけって顔してましたけど。
マ「瑞方までタクシーですか」
羊「いいえ、歩いて行きます」
マ「あなたは強いです。台北まで歩きますか」
羊「あなたはわたしをからかっています」
下りは登りより30倍楽でした。
キャリーカートにブレーキがあればなあなんて思ったくらいで。
相変わらず犬に吠えられる僕。
犬「ワンワン!ワンワン!」
羊「ワンワンわん、、、ワン!?」
お前ら出てこれるのかよw
傘をサイドポケットに入れてたので刹那に取り出してガードできましたけど、すごい剣幕でマジかじられるかと思いました。
行きのときは対向車線だったので、出てこなかったのかな。
みなさん徒歩で九份越えの時は、このワンちゃんたちにご注意です。
背中を見せて退こうものなら元気いっぱいにやられてしまうので、傘を盾に強気で前にでましょう。でないとふくらはぎあたりを噛まれます。
往路では僕をさんざ苦しめた地獄の階段も、下りは楽でした。
小慣れた感じで瑞方駅に到着。
余裕があったらあんまんでも食べようかななんて時刻表を見たら戦士に真の休息はないとばかりに丁度よい列車があって、そのまま切符買ってホームに向かいます。
したら運悪く学生の帰宅ラッシュとかぶってしまい、車内は中々の混みっぷり。
僕の30kgの荷物は完全に邪魔者扱いされ、通路にびろんとなった腰ベルトをびよんびよん蹴られ肩身の狭い思いをしながら台北に到着。
予約してあった、台北駅からほど近い宿にチェックインしてビール飲んでゲップして、夢と希望、それから独りで背負うにはあまりに軽くはない2017年の時代の重みを詰め込んで臨んだ怒涛の九份マラソンこれにて無事完走でございます!みなさまどうも長いことお疲れ様でございました!
お天気が良ければ、ほんとにいいとこだと思いましたよ九份は。
みなさまも是非、ベストシーズンの4月5月を狙って行ってみてください。
以上、3連敗を巻き返せ。怒涛の九份マラソン!でした。
次回、みなさまおはぎゃぁあああああ。です。
お楽しみに。
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